さて、8月に入り、社会保険労務士の本試験まで1か月を切りました。第57回令和7年度の試験は8月24日、日曜日です。例年、8月の最終日曜日に行われます。
社労士の問題を不定期にお送りしていこうと思います。今回は、労働基準法の選択式試験の問題を紹介します。
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社労士の選択式試験とは
社労士の選択式試験は、文章が穴あきになっていて、その部分を選択肢の語群から選ぶという方式です。
穴あき個所は5空欄で、選択肢は20個用意されています。1か所につき、4つの候補という計算ですが、必ずしもそうとは限りません。5空欄で20個の語群から選びます。
語群についても、空欄Aには①から④が入るわけではありません。語群の並べ方は五十音順で、数字の選択肢も混じっている場合は、数字→語句の順番で並べられています。
社労士の試験勉強をしていない人が、ぱっと問題を見ると、すごく簡単そうに見えるかもしれません。必ず選択肢の中に正解がありますし、国語力で何とかなりそうな気がするからです。
しかし私は、この選択式試験がものすごく苦手でした。紛らわしい選択肢が多く、同じ問題を何回も同じところで間違えて、苦労しました。
選択式試験は、本試験では午前中に行われ、80分の試験です。
労働基準法 選択式
労働基準法で定める基準( A )労働条件を定める( B )は、その( C )については( D )とする。この場合において、( D )となった( C )は、労働基準法( E )による。
選択肢
①以下の ②以下の基準 ③以上の基準 ④解除
⑤箇所 ⑥就業規則 ⑦条項 ⑧全部
⑨で定める基準 ⑩と一致しない ⑪取消 ⑫に達しない
⑬破棄 ⑭部分 ⑮無効 ⑯労使協定
⑰労働協約 ⑱労働契約 ⑲を上回る ⑳を超える基準
労働基準法13条からの出題です。これは、全て基本的なことなので、語句を正確に覚えておく必要があります。ただ、13条については、一字一句覚えていなくても、国語力で突破できそうな内容かもしれません。でもやはり、まぎれがあります。
正解は、Aが⑫に達しない、Bが⑱労働契約、Cが⑭部分、Dが⑮無効、Eが⑨で定める基準、です。
正解文は労働基準法13条「労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、労働基準法で定める基準による」です。
条文を覚えていれば、何の苦労もなしに、ちょちょいっと解答できますが、通常すべての条文を一字一句、正確に覚えている人はいないと思います。そこで、文章に合いそうな語句を入れていくのですが、似たような語句の選択肢で紛らわしいです。
この文章の全体の言わんとしていることは、労働基準法よりダメなところは労働基準法によって守られています、ということです。
空欄Aを見ます。候補としては、①以下の、⑩と一致しない、⑫に達しない、⑲を上回る、が入りそうです。上回っていたら、法律で守る必要もないので⑲を消して、①、⑩、⑫ですが、どれも入りそうですが、⑫に達しない、が正解です。
①以下のは、法律で定める部分を含んで、それより下なので×です。⑩一致しない、は労働基準法に一致させることが法律の趣旨ではないですし、一致しない全然違う内容だとそもそも労働基準法の出番ではないので、×です。
いかがでしょうか。空欄Aだけでも、けっこう悩みます。
あと一つ、空欄Cを見ます。候補としては分かりやすく、⑤箇所、⑦条項、⑧全部、⑭部分、が入りそうです。⑦条項と⑧全部は外せそうです。契約の条項まるごとではないですし、契約の全部が無効になるわけでもないです。あと、「全部」は文章的にも変です。
紛らわしいのは⑤箇所、と⑭部分、です。これは、私には同じ言葉だという認識です。が、この2つの言葉の法律の使われ方には、はっきりと区別があります。「箇所」は位置や場所に使われ、空間的、構造的な位置に使われます。例として、「修正すべき箇所」という使われ方です。対して、「部分」は全体の中の一部分を指し、抽象的、構成的な意味で使われます。例は、「文章の一部分」という使われ方です。ニュアンスで言うと、「箇所」は位置や場所、「部分」は何かの一部分という感じです。
選択式試験、難しいです!
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